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毎年、盆や年末年始には母の実家に行くことになっている。
その家には叔父や叔母と一緒に従兄弟夫婦が住んでいて、小さな男のお子さんがいる。随分と愛嬌のある子で誰が抱っこしても泣くことはそうそう無く、ずっとニコニコしている。
ある年の正月、半ば押しつけられ気味にその子の子守に任命された。絵本を読んであげたりしていると、ぐいぐいと私を引っ張って隣の仏間に連れて行こうとする。仕方なくついていくと、そこは誰もいないひんやりとした空気の漂う部屋だった。仏間には良く顔も覚えられないうちに亡くなってしまった祖父と若くして鬼籍の人になったもう一人の叔父の写真が飾ってあった。
こんなとこに連れてきてどうするのだろう。おもちゃは全てさっきいた部屋に置いてきてしまった。しかしその子はずっとニコニコしている。何が面白いのか気になって、その子をしばらく観察していた。するとじっと窓の方を見つめ始めた。仏間の窓からは庭の植木が見えるばかり。冬であるから特に花が咲いているわけでもなく葉が生い茂っていたりもしない。もちろん、誰かがいるはずもない。なおも窓を見つめている子供。終いには窓に張り付いて離れなくなってしまった。キャッキャッと嬉しそうな声さえあげている。
私はふと気づいた。子供には、霊が見えやすい。もしかしたら、この子には何かが見えてるのかもしれない。例えば、顔も知らぬ曾祖父や大叔父…。外には寒風が吹き荒れている。急に背中に寒気を覚えた。
しばらくすると戻ってこない私たちが気になったのか、叔母が仏間にやってきた。窓にへばりついている子を見て、またか、という風に笑った。少々嫌がる子供を抱っこして、叔母は言った。
「この子ね〜、自分の顔大好きだから鏡とか窓見て笑うのよ〜!」
ええええええええ。 ただのナルシストかよ。
確かにその子の顔は可愛い。それは認める。従兄弟似の美形になるだろう。しかしまだ言葉もしゃべれないうちからそれはどうか。
年の初めから赤子に判明した将来の不安。一抹どころではない不安。十数年後の姿が楽しみなのか見たくないのか、心掻き乱される一年の幕開け。
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